「フランダースの犬」全文日本語訳




ただいま「フランダースの犬」の日本語訳は作成途中です。
日本語でお読みになりたい方は
日本語版書籍
の項を御参照下さい。


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(以下は物語最後の4ページです)

急に 闇を通して 大きな白い光が通路に流れ込みました。高く昇った月が雲の間から現われたのです。雪は 降るのを止めていました。光は 夜明けの光のように明るく雪に反射していました。光は二つの絵の上のアーチを通り すでにここに入ってきた時に少年の手によって覆いが取り払われていた 「十字架を立てる」と「十字架から降ろす」の二つの絵を一目で見ることができました。

ネロは立ち上がり それらへ彼の腕を伸ばしました。激しい恍惚の涙が彼の青白い顔に光りました。

「とうとう見たんだ!」彼は大声で叫びました。「ああ 神様 これで充分です!」

彼の四肢は崩れ落ち 彼が羨望した威厳をまだ上方へ見つめながら跪きました。ほんの僅かな時間 光は彼が見ることを望み続けてきた神聖な絵を照らしました。明るく甘美な そしてあたかも天の王座から流れ出ているかのような光が。

そして急に それは過ぎ去り もう一度 大きな闇がキリストの顔を覆いました。

少年の腕は再び犬の身体を引き寄せました。

「僕たちは彼の顔を見られるだろう。あそこで。」とネロはささやきました。「そしてイエス様は私たちを離れ離れにしたりはしないと思うよ。哀れんでくれるよ。」

W

翌朝 大聖堂の聖壇所に アントワープの人々は彼ら二人を見つけました。二人とも死んでいました。夜の寒さは 若い生命も年老いた生命も静かに凍らせていました。クリスマスの朝が明け 聖職者たちが寺院へ来た時 彼らは二人が石の上に重なり合っているのを見付けました。その背後には 引き剥がされた覆いの上に ルーベンスの大きな絵があり 爽やかな朝日の光が 冠を被ったキリストの頭に触れていました。

その朝 彼らの上に日が昇ると 年をとった怖い顔の男の人があたかも女のように泣きながら来ました。
「私はこの若者に残酷だった」彼はつぶやきました。「今 私はその埋め合わせをしたかったんだ・・・財産の半分を分けてでも・・・そして 息子として受け入れるつもりだったのに。」

日が高く昇ると さらに 世界的に名声を得た 自由な手と精神を持った画家が来ました。「私は 昨日賞を取るべきだった少年を捜しています。」彼は人々に言いました。「まれにみる有望な天才少年でした。夕刻の倒れた木に一人の年老いた木こりが腰掛けている・・・ それが彼のテーマの全てでした。しかし その中には将来の偉大さがありました。私は彼を見つけ 私のところに引き取って 彼に芸術を教えるつもりでした。」

それから ブロンドの巻き毛の女の子が父親の腕につかまって 激しくすすり泣きながら声を限りに叫びました。「あぁ ネロ。来て! 私たちあなたのために準備できているのよ。幼児キリストの手は贈り物でいっぱいだし 年を取った笛吹きは私たちのために遊んでくれるでしょうし お母さんも言ってるわ あなたが炉床のそばで私たちと木の実を焼いていいって。クリスマスの週の間中 いいえ 東方の三博士の日まで! それにパトラッシュだって嬉しいわよ! あぁ ネロ! 起きて来て!」

しかし 偉大なルーベンスの絵の光に向けられ 口の上に微笑をたたえた若い青白い顔は 彼ら全てに答えました。「遅すぎます。」

甘美にこだまする鐘の音が霜に鳴り響き 日光は雪の平原を照らし 陽気な人々が嬉しげに道を通っていきました。しかし ネロとパトラッシュは もう何も慈悲を求めませんでした。二人が必要とした全てのものを 今 アントワープは自ら与えたのでした。

この世に生きながらえるよりも 死の方が二人にとっては慈悲でした。死は 愛に報いず信頼に答え無いこの世から 愛に忠実な犬と 無垢な信頼の心を持った少年を連れ去って行ったのでした。

その生涯のすべての時間を 彼らは一緒に過ごしました。死をも 二人を分かつことはできませんでした。余りにも固く抱き合っていて 無理をしなければ 少年の腕から犬を離すことができないと分かったとき 悔恨に恥じ入った小さな村の人々は 特別のはからいにより 二人をひとつの墓に並んで休ませることにしました---永遠に!



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