ネロとパトラッシュの歩いた道〜(5)

川沿いのキール



【Cockerillkaai】→【De Gerlachekaai】→【Ledeganckkaai】 【Petroleumkaai】→【Polder 湿地】→【Kappelstraat 礼拝堂通り】→ 【Dorp 村】




川岸を更に進んでいきましょう。
だんだんと荒廃した景色になってきました。
ここからホーボーケンまでが アントワープの中でも使われていない場所なのです。
(ですから歩いても見るものはありませんが・・・)


やがてこういうものが見えてきます。

Petroleum Zuid(Antwerpen) Petroleum Zuid(Antwerpen)

石油パイプライン

このあたりは 「石油地帯」と呼ばれています。
このようなパイプラインがタンカーと石油タンクとを結びました。

アントワープに始めて石油が入ってきたのは 1861年ですが
その二年後には ヨーロッパ中で最も多くの量の石油を輸入するようになっていました。
ただし 初期の頃は街中に石油タンクが作られたのですけれども
1889年の火災の後 事故のときの危険性から ここに移されました。
1897年から1903年に掛けて (そもそもは湿地帯でしたので)1.5m盛り土され
タンカーが接岸できるように川岸が整備され 火災に備えて堀や防火槽が作られ ベルギーで最初の石油港となりました。
そして 20世紀前半のヨーロッパの石油産業において 最も重要な役割を担うようになります。

この「石油地帯」では しばしば爆発事故が起きました。

爆発事故1905年8月12日 爆発事故1905年8月12日
爆発事故(左=1904年 右=1905年)

第二次世界大戦後は 徐々にシュケルデ川左岸(街の対岸)に移され
(左岸は今現在世界で二番目に大きな石油コンビナートとなっています)
2010年以後 パイプラインは使われないまま放置されているかのように見えますが
洗浄などに2035年までかかるようです。


☆a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★


荒廃した旧工業地帯を進んでいくと
やがて左側に緑地帯が見えてきます。
Polder=湿地です。
湿地帯ということは 水はけが悪く=水分ががいつでも充分にあり
粘土状の土質=栄養分が多いですので
木が茂りやすいのです。

この湿地帯は もっと広くアントワープの町に入る辺りにまで広がっていましたが
石油地帯が作られたので狭くなりました。
20世紀半ばまで ここは単に使われていない土地でした。
つまり「無駄な土地」だと思われていました。
ですので 1960年代に 高速道路を作ったときに出た土で埋め立てて住宅地として開発することになりました。
けれども その後の石油ショックと反対運動とによって住宅地化は中断され
結局は自然保護地域として残されることになりました。

実際 たくさんの植物や動物たちがいます。

地元の人たちは 長靴を履いて散歩しています。
自転車で走るのは無理です。


☆a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★


更に川岸を進むと 旧造船所です。

コッケリル造船所 Cockerill Yardsコッケリル造船所
Cockerill コッケリル造船所

Cockerill コッケリル造船所は1874年にここに移転してきて 600人で造船を始めました。
第一次世界大戦後も どんどん規模を拡大しましたが
1930年代の世界的な不況により 一年間操業を中断しています。
その後復活して 1970年代には幅125m 高さ75mの 450トンを運べる巨大な移動クレーンが設置され
400トン級の外洋船が作られました。
しかし その後アジア諸国との価格競争により 1982年に倒産します。
それにより2800人(ホーボーケンの人口の一割)が職を失いました。


☆a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★


この後 川岸を離れて進んでいくと ホーボーケンの村に着きます。
キオスク広場の辺りを ホーボーケンの人たちは今でも「dorp=村」と呼んでいます。
(それに対して「stad=都市」はアントワープのことを指します。)


☆a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★a☆dog☆of☆Flanders★

このページの初めに戻る


トップページへ
目次へ
前のページへ
次の項目へ