アニメ「フランダースの犬」(1975年)




小説「フランダースの犬」は
1975年1月5日から同年12月28日までに
フジテレビ系列の「世界名作劇場」枠でテレビアニメシリーズとして放映されました。
日本アニメーションによる制作で
原作は同名の小説『フランダースの犬』
原作のクレジットはウィーダの本名(であるとして)ルイス・ド・ラ・ラメー
となっています。

またその後 この作品のリメイクとして
2回 アニメ化され公開されています。


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日曜日の夕刻に(日本の多くの家庭で 唯一 一家揃っての団欒の時間に)放映されたことと
その救われない物語から 本放送から30年以上を経た現在でも広く知られているようです。

本放映時も ストーリーが悲劇的になるにつれて テレビ局に主人公ネロが助かるよう嘆願する手紙が殺到しました。
30%を超える視聴率を記録し
これは「世界名作劇場」のアニメとしては最高のものです。
また 日本において「フランダースの犬」が初めて映像化された作品であることもあって
多くの日本人にとって
「フランダースの犬」とは このアニメのことだという印象を与えたようです。

しかし 原作とはかなりの相違点があります。
シリーズの大半(第42〜43話まで)がアニメオリジナルのストーリーで占められていること
登場人物のほとんどが創作であること
ネロやアロアの年齢設定も変えられていること
などです。

このアニメのもう一つの特徴は
描かれている舞台設定が
「フランダースの犬」という話であるにもかかわらず
フランダースの情景を描いてはおらず オランダの情景を描いている点にあります。


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小説「フランダースの犬」は 英文の原作では僅か66ページの物語です。
それを 一年にわたって30分の番組を52回放映するために
かなりの創作が行われました。
そして その創作のために
沢山の 原作には出てこない人物が作られました。


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またネロとパトラッシュたちの年も原作とは差異があり
原作ではネロとパトラッシュとは 共に15歳 アロアは12歳ですが
アニメでは ネロは10歳 アロアが8歳と 幼くされています。
原作内の設定では ネロは自立が可能な年齢であり
天に召されることは自ら選んだように書かれていますが
アニメでは そうする以外の選択肢を閉ざされて行く展開となっており
それにより 悲劇性が格段に増しています。


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「フランダースの犬」とされていながら
描かれている情景が フランダース地方のものではなく
オランダの情景となっている理由ですが
一つには
日本人には オランダとフランダース(あるいはベルギー)との違いが分からない
ということがあるでしょう。
物語に風車が出てきますが 「風車はオランダのもの」という思い込みもあるかもしれません。

実はこのアニメを制作するにあたっては
アニメ製作会社 日本アニメーションから 現地フランダースに下調べに来ました。
しかし その当時
ベルギーには オランダ語を話せる日本人のガイドはいませんでした。
フランダースのボックレイクという町に屋外博物館があって
19世紀のフランダースの農村の様子が再現されているのですが
そこに見に行きはしましたが
書かれている解説は全てオランダ語で 意味は分からず
そして
何がフランダースの様式で
それが オランダのとどう違うのかを説明できるガイドもいませんでした。
そして オランダはすぐ隣だし 同じオランダ語を話すのだし
多分それ程には違わないだろう と思い
あるいは
「風車はオランダのもの」という思い込みから
アムステルダムに取材に行き
オランダの情景を描くことになってしまったようです。
その結果 描かれたものは
風車は フランダースのものではなく オランダの風車
衣装はフランダースのものではなく 北オランダの民族衣装
町並みや運河の様子も フランダースのものではなく オランダのもの
ということになってしまいました。

また 舞台はアントワープの町とホーボーケン村ですが
その当時のアントワープの町は すでに19世紀後半の様子はほとんどとどめておらず
そのために 中世の趣きがより多く残されている
ブルージュに取材に行きました。
ですので 建物などは オランダのアムステルダムと
そしてベルギーのブルージュとの様子が描かれることになりました。 また
時代考察もなされておらず
例えば
ネロの時代には 大聖堂の入り口の細かい彫刻はまだありませんでした
大聖堂内には 椅子はありませんでした
市庁舎の前に ブラボーの噴水はまだありませんでした。
それらが 現在の様子で描かれてしまっています。


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このアニメは
オランダ国営放送によって
オランダにおいても放映され 高い視聴率を取りました。
ベルギーにおいては
オランダ語国営放送に対して放送の希望がなされましたが
「フランダースの情景を描いていない」という理由で
断られています。
(オランダで放映されたのは まさにこの理由からのようです。
そして その違いは現地の人々には明白であるということでもあります。)


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このアニメ作品は
現在DVDとして入手可能です。

52回にわたって放映された そのままのものと
全体を90分にまとめたものの 二種が売られています。

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